頬杖のココロの奥

気がついたら頬杖を付いている私が斜め上を見ながらぼやく日々

ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男

アカデミーを追っかけ2作品目はラスティンです。

アカデミー主演男優賞にコールマン・ドミンゴがノミネートされているということで鑑賞。

1963年にアメリカで行われた人種差別撤廃デモ「ワシントン大行進」の主導者のひとりである活動家バイヤード・ラスティンを描いた社会派ヒューマンドラマ。

1963年8月28日、リンカーン大統領による「奴隷解放宣言」から100年を経ても根強く続く人種差別の撤廃を求め、20万人以上が参加したワシントン大行進。「私には夢がある」の歴史的演説を残したキング牧師や、アダム・クレイトン・パウエル・Jr.、エラ・ベイカーらとともに自由への行進を先導しながらも、長らくスポットの当たることがなかったラスティンを主人公に、公民権の歴史の流れを変えるべく尽力し、人種差別や同性愛への偏見に真っ向から立ち向かう姿を描き出す。

映画.comより

なるほど、有名なキング牧師の演説があったワシントンでのデモを下支えした立役者なのですね、存じ上げませんでした。

映画を見ながら有色人種であるという差別と同性愛者であるという差別を受けたということがよく解ります。

映画の冒頭からしてショッキング。白人が黒人に罵りまくってるスローシーン。何一つ落ち度のない人に、あの様な常軌を逸した行動に鳥肌が立ちます。

主人公のラスティンもバスに乗ろうとして、そばにいる子供の親から「ニガーに触らないの!」って言われ、周りの白人全員に睨まれ引きずり降ろされ、ボコボコに。その象徴として前歯の右側がない。
その前歯が欠けた顔で笑ったり泣いたり。凄い印象に残る。

キング牧師も当然出てきますが、あくまで控えめ。

 

1954年に「人種差別は違憲」との判断が下されたものの、まだまだ続く黒人差別。
ラスティンは1960年にキング牧師に5000人の黒人とともにデモを行う計画を持ちかける。
が、民主党のパウエル議員(ちなみに黒人)に反対されデモは却下され、しかもNAACP(全米有色人種地位向上協議会)からも外されてしまう。

1963年にラスティンはNAACPを辞めたあとに加入した「戦争反対者同盟」のリーダーとなっており、ホワイトハウスにて2日間のデモを行う大計画を立てる。
(結果として様々な意見から1日のデモになったわけだけど)

若者たちにも裾野を広げ、活動的な彼らはどんどんワシントン行進に向けて人をかき集めていく。バス・列車・公衆トイレや食料全て自分たちの力で準備。

インドのガンジーに習い完全非暴力を歌い、配置される警官にも武器の持ち込みを徹底的に断る。それがこの大行進の約束事。

これらのラスティンの行動は実に活発的でテンポよく描かれていますが、時々思い出したように同性愛に関するシーンは何かしら歯切れが悪い。
白人のトムにしろ家庭持ちのイライアスにしろ、彼が同性愛者であるということを描くためだけに用意されたキャストとしか思えない。実際イライアスという人物は架空らしいけれど。

結果的に25万人に登るワシントンD.Cのデモは大成功したが、その場面は極めて簡素に描かれていて、映画として撮られたシーンと実際のシーンを織り交ぜながらサラッと流されます。

「わたしには夢がある」
I have a dream.

この有名なセリフでさえ出てきませんでした。それが示すものは、あくまでもキング牧師の演説に至った道筋を描いた作品であって、その結果はみんな知ってるでしょ?ということ。

実際ラスティンはデモのあとに大統領が幹部たちと話をしたいという持ちかけを個人的に断り、ゴミ拾いをしていたという。

エンディングにバラク・オバマさんのクレジットがあったので??と調べてみたら、オバマさんが大統領時代、ラスティンに対して「大統領自由勲章」を贈っていたのですね。そして、オバマご夫妻が設立された映像会社ハイヤー・グラウンド・プロダクションズによって、この映画が作られたとのこと。


ラスティン演じるコールマン・ドミンゴは自身が同性愛者であることを公言しています。余談ですが、旦那様との馴れ初めが超ロマンチックなんだがーー❤

さて、アカデミーの下馬評ではやはりオッペンハイマーキリアン・マーフィーが有力ですがどうなることやら。


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昨日3作目を観ていましたが、寝落ちしたのでまた始めからです…はぁ
あと映画の感想は本当に難しい、もっとおちゃらけて書くほうが楽ちんやわぁ